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『欲望の資本主義 2022夏 特別編 -メタバースの衝撃 デジタル経済のパラドックス-』

 

『欲望の資本主義 2022夏 特別編 -メタバースの衝撃 デジタル経済のパラドックス-』 BS1スペシャ

 

 今年の元日に放映された、『欲望の資本主義2022』の特別編である。今回は、メタバースとデジタル経済とテーマに世界の知性が語っている。既にメタバースは、仮想空間で自身が行動できる空間として、多くのサイトが立ち上がっており、資本主義の最前線になりつつあるようだ。勝者が利潤のすべてを総取りするメタバースの世界で勝者は誰なのだろうか?

 テクノロジーの進化により、現代はすべてがバーチャルの世界になっていこうとしている。既に、都市の画像は、仮想世界に完全に再現することにできるようになっている。すべてがバーチャルの世界になり、リアル社会をバーチャル社会で拡張するようになっているのだ。バーチャルの世界になることにより、現実世界に存在する時間や距離の制約がなくなっていく。この制約がなくなることにより、これまでタイムゾーンの違いや物理的に距離が離れていることにより、接点を持つことができなかった顧客と接点を持ち、新規市場を開拓していくようなメタバースをビジネスに活用していく場面が増えていくことであろう。メタバースにより、モノの受け渡しによる人との接点からイベントのような物事での接点に、そして、人と人の共有体験へと発展していく。今後は、メタバースを本当に理解している人のみがこの世界をリードしていくことになり、一握りの仮想空間のみが生き残るであろう。

 現在、国家経済を表す指標としてGDPが使用されている。このGDPには、家事労働、環境破壊や無形資産のような見えない資本は含まれていない。あくまでもGDPは物質的に見えるモノを対象とした指標である。このGDPでは、デジタル化が進んだ現代資本主義を把握することは難しいのではないか?

 Web3やメタバースが発展したデジタル資本主義では、どのような世界が形作られているのだろうか?

 おそらく、欲望とテクノロジーが繋がれ、現代のGAFAを中心とした中央集権的な世界ではなく、仮想空間に分散型で平等な世界が作られていくのではないか?

 ここで、成田悠輔氏は、貨幣は欲望の対象であり、経済活動を評価する単純化装置である。そして、経済活動のデータが貨幣であり、実体と記録(データ)の乖離がお金の価値である、と主張する。さらに、ファーガソン氏は、デジタル化が進むことにより、投機的なキャッシュフローが増加し、バブルの発生と崩壊を繰り返す危険性が高まる、と主張する。

 現代資本主義は、モノの世界からサービス、デジタルへの変化してきた。そして、現在は、AIやメタバースが普及するデジタル社会になりつつある。現在がデジタル経済に移行していくことにより、さまざまな雇用も奪われていくことになる。これまでの富を生むルールが変わっている中で、われわれが焦点を当てるべき経済の本質はGDPではなく、人、つまり国民である。このまま資本主義経済が偏重され、不平等が拡大していけば、人類は絶滅する。現代は、デジタル経済を技術―人間、社会―個人のように複眼で思考していくことが必要になってくるであろう。デジタル社会を生き抜いていくために必要なものは何であろうか?

仮想空間に平等な世界を作ることはできるのだろうか?