TechnologyとIntelligenceに憧れて

外資系ネットワーク・エンジニアの独り言。

2024 Vol. 2:『(新版)史的システムとしての資本主義』

『(新版)史的システムとしての資本主義』 I.ウォーラーステイン著, 川北 稔訳, 岩波書店, 1997 本書は、I.ウォーラーステインの壮大な歴史理論である、「世界システム論」の骨子をかみ砕いて紹介したものとされている。だが、「世界システム論」自体を理解す…

2024 Vol 1:『世界システム論講義 – ヨーロッパと近代世界 -』

『世界システム論講義 – ヨーロッパと近代世界 -』 川北 稔著, 筑摩書房, 2016 世界システム論とは、ウォーラーステインが提唱した歴史理論である。世界システム論では、近代世界を一つの巨大な生き物のように考え、近代の世界史をそうした有機体の展開過程…

『欲望の資本主義 2024 - ニッポンのカイシャと生産性の謎 -』

『欲望の資本主義 2024 - ニッポンのカイシャと生産性の謎 -』 2024年の『欲望の資本主義』シリーズのテーマは、「ニッポン」であった。 現在のニッポンは、課題山積の状態である。 ・インフレに追いつけない賃金上昇 ・急激に進む少子高齢化 実物経済はとい…

2023 Vol. 1:『ゼロからの『資本論』』

『ゼロからの『資本論』』 斎藤幸平著, NHK出版, 2023 本書は、非常に難解なマルクスの『資本論』を近年の研究成果を踏まえながら新しい視点で『資本論』を読み進めようというものである。 マルクスの『資本論』は、著者の斎藤氏も言っているように、非常に…

『欲望の資本主義 2023 – 逆転のトライアングルに賭ける時 -』

『欲望の資本主義 2023 – 逆転のトライアングルに賭ける時 -』 ここ数年、年始の恒例となったNHK BS1スペシャル『欲望の資本主義』シリーズの最新作である。今回は、現在の覇権国であるアメリカが衰退してきており、その結果、グローバリゼーションの終焉を…

2022 Vol.12:『GE帝国盛衰史 ―「最強企業」だった組織はどこで間違えたのか』

『GE帝国盛衰史 ―「最強企業」だった組織はどこで間違えたのか』 トーマス・グリダ、テッド・マン著, 御立英史訳, ダイヤモンド社, 2022 本書は、表紙の折り返しに記載されているとおり、100年以上にわたって輝き続けたゼネラル・エレクトリック(GE)が、なぜ…

2022 Vol. 11:『GAFA next stage 四騎士+Xの次なる支配戦略』

『GAFA next stage 四騎士+Xの次なる支配戦略』 スコット・ギャロウェイ著, 渡会圭子訳, 東洋経済新報社, 2021 本書は、GAFAが戦略的に作り上げた世界描いた『the four』の続編である。新型コロナによる世界的なパンデミックを経験した現代経済において、GAF…

『欲望の資本主義 2022夏 特別編 -メタバースの衝撃 デジタル経済のパラドックス-』

『欲望の資本主義 2022夏 特別編 -メタバースの衝撃 デジタル経済のパラドックス-』 BS1スペシャル 今年の元日に放映された、『欲望の資本主義2022』の特別編である。今回は、メタバースとデジタル経済とテーマに世界の知性が語っている。既にメタバースは、…

2022 Vol.10:『脱成長と欲望の資本主義』

脱成長と欲望の資本主義 作者:丸山 俊一 東洋経済新報社 Amazon 『脱成長と欲望の資本主義』 丸山俊一 + NHK「欲望の資本主義」制作班, 東洋経済新報社, 2022 本書は、NHK BS1スペシャルの「欲望の資本主義」シリーズの書籍化されたものである。毎年出版を重…

2022 Vol. 9:『働く悩みは「経済学」で答えが見つかる -自分をすり減らさないための資本主義の授業-』

働く悩みは「経済学」で答えが見つかる 自分をすり減らさないための資本主義の授業 (SB新書) 作者:丸山 俊一 SBクリエイティブ Amazon 『働く悩みは「経済学」で答えが見つかる -自分をすり減らさないための資本主義の授業-』 丸山俊一著, SBクリエイティブ,…

2022 Vol. 8:『資本主義だけ残った -世界を制するシステムの未来-』 

資本主義だけ残った――世界を制するシステムの未来 作者:ブランコ・ミラノヴィッチ みすず書房 Amazon 『資本主義だけ残った -世界を制するシステムの未来-』 ブランコ・ミラノヴィッチ著, 西川美樹訳, みすず書房, 2021 人間は、1つのものに収斂するのでは…

2022 Vol. 7:『22世紀の民主主義 選挙はアルゴリズムになり、政治家はネコになる』

22世紀の民主主義 選挙はアルゴリズムになり、政治家はネコになる (SB新書) 作者:成田 悠輔 SBクリエイティブ Amazon 『22世紀の民主主義 選挙はアルゴリズムになり、政治家はネコになる』 成田悠輔著, SBクリエイティブ株式会社, 2022 本書は、停滞と衰退の…

2022 Vol. 6:『世界サブカルチャー史 欲望の系譜 – アメリカ70-90s「超大国」の憂鬱 -』

世界サブカルチャー史 欲望の系譜 アメリカ70-90s「超大国」の憂鬱 (単行本) 作者:丸山 俊一+NHK「世界サブカルチャー史」制作班 祥伝社 Amazon 『世界サブカルチャー史 欲望の系譜 – アメリカ70-90s「超大国」の憂鬱 -』 丸山 俊一+NHK「世界サブカルチャー…

2022 Vol. 5:『世界システム論で読む日本』

世界システム論で読む日本 (講談社選書メチエ) 作者:山下範久 講談社 Amazon 『世界システム論で読む日本』 山下範久著, 講談社選書メチエ, 2003 本書は、もともと世界システム論では、「非西洋でありながら、唯一近代化を果たし、植民地化をまぬかれた国」…

2022 Vol. 4:『世界史とヨーロッパ – ヘロドトスからウォーラーステインまで - 』

世界史とヨーロッパ (講談社現代新書) 作者:岡崎 勝世 講談社 Amazon 『世界史とヨーロッパ – ヘロドトスからウォーラーステインまで - 』 岡崎勝世著, 講談社現代新書, 2003 本書は、冒頭の「歴史は「現在と過去との対話」だと言われ、ここから必然的に「歴…

2022 Vol. 3:『ブルシット・ジョブークソどうでもいい仕事の理論』

『ブルシット・ジョブークソどうでもいい仕事の理論』 デヴィット・グレーバー著, 酒井隆史, 芳賀達彦, 森田和樹訳, 2020, 岩波書店 著者のグレーバーは、日々の生活の中において多くの人が感じることが多い、「仕事の存在理由について、その仕事を毎日こな…

2022 Vol. 2:『変異する資本主義』

『変異する資本主義』 中野剛志著, ダイヤモンド社, 2021 本書は、「資本主義」とは、物理的生産手段の私有、私的利益と私的損失責任、民間銀行による決済手段の創造という特徴を備えた産業社会である、と定義し、資本主義とは経済変化の「過程」であり、時…

欲望の資本主義 2022 『成長と分配のジレンマを越えて』

『欲望の資本主義 2022 成長と分配のジレンマを越えて』 NHK BS1スペシャル 毎年年初に放映される「欲望の資本主義」シリーズの最新作である。 今回のテーマは、「成長」と「分配」である。 昨年の「欲望の資本主義 特別編」で紹介されたように、新型コロナ…

2022 Vol. 1:『アイデア資本主義 文化人類学者が読み解く資本主義のフロンティア』

『アイデア資本主義 文化人類学者が読み解く資本主義のフロンティア』 大川内直子著, 実業之日本社, 2021 近年、資本主義が終焉するのではないか、と言われ始めている。これまでの資本主義は、拡大を志向し、拡大の余地をフロンティアに求めていた。本書では…

2021 Vol.12:『グレート・リセット ダボス会議で語られるアフターコロナの世界』

『グレート・リセット ダボス会議で語られるアフターコロナの世界』 クラウス・シュワブ、ティエリ・マルレ 著 藤田正美、チャールズ清水、安納令奈 訳, 日経ナショナル ジオグラフィック社, 2020 本書は、新型コロナウイルスによるパンデミックの世界的な発…

2021 Vol.11:『アフターデジタル - オフラインのない時代に生き残る -』 藤井保文、尾原和啓 著

『アフターデジタル - オフラインのない時代に生き残る -』 藤井保文、尾原和啓 著, 日経BP社, 2019 本書は、現在の日本企業のデジタルテクノロジーへの対応に警鐘を鳴らし、日本において、本質的なデジタルトランスフォーメーションを実現し、日本がグロー…

2021 Vol.10:『カスタマーサクセスとは何か -日本企業にこそ必要な「これからの顧客との付き合い方」-』

『カスタマーサクセスとは何か -日本企業にこそ必要な「これからの顧客との付き合い方」-』 弘子ラザヴィ著, 英治出版, 2019 本書は、デジタル時代を生き抜くあらゆる企業にとって必須の概念となってきている「カスタマーサクセス」の必然性と本質について、…

2021 Vol. 9:『欲望の資本主義5 – 格差拡大 社会の深部に亀裂が走る時 -』

『欲望の資本主義5 – 格差拡大 社会の深部に亀裂が走る時 -』 丸山俊一+NHK「欲望の資本主義」制作班 著, 2021, 東洋経済新報社 本書は、「やめられない、止まらない、欲望の資本主義」、NHK BS1スペシャル「欲望の資本主義」シリーズ5冊目の書籍である。本…

2021 Vol. 8:『逆境の資本主義 - 格差、気候変動、そしてコロナ・・・・・・ -』 日本経済新聞社[編]

『逆境の資本主義 - 格差、気候変動、そしてコロナ・・・・・・ -』 日本経済新聞社[編], 日経BP/日本経済新聞出版本部, 2021 本書は、2020年に日本経済新聞で連載された、「逆境の資本主義」、「コロナと資本主義」を中心に書籍化されたものである。世界の30名以…

2021 Vol. 7:『次のテクノロジーで世界はどう変わるのか』 山本康正

『次のテクノロジーで世界はどう変わるのか』 山本康正, 講談社, 2020 作者は、「今後のテクノロジーはあらゆるビジネスの直結し、テクノロジー抜きにビジネスは成り立たなくなってくる」とし、テクノロジーの基礎的な教養のための未来のテクノロジー・ビジ…

2021 Vol. 6:『インタンジブル・アセット –「IT投資と生産性」相関の原理-』 エリック・ブリニョルフソン

『インタンジブル・アセット –「IT投資と生産性」相関の原理-』 エリック・ブリニョルフソン, CSK訳・編, ダイヤモンド社, 2004 本書は、コンピューターへの投資が生産性統計に表れてこない、という「生産性パラドックス」について、情報技術とそれが企業の…

2021 Vol. 5:『スティグリッツの経済学 「見えざる手」など存在しない』 薮下史郎

『スティグリッツの経済学 「見えざる手」など存在しない』 薮下史郎, 東洋経済新報社, 2013 本書は、NHK BS1スペシャル「欲望の資本主義」で「アダム・スミスは間違っていた」と言い放ち、現実の課題に挑み続けているノーベル賞学者のスティグリッツの理論…

『欲望の資本主義 特別編 「コロナ2度目の春 霧の中のK字回復」』

『欲望の資本主義 特別編 「コロナ2度目の春 霧の中のK字回復」』 NHK BS1スペシャル:「欲望の資本主義 特別編」を視聴してみたので、思いつくまま感想を書いてみようと思う。 まず、タイトルにもある「K字回復」とは、現時点を縦棒として今後回復していく…

2021 Vol. 4:『非対称情報の経済学 - スティグリッツと新しい経済学 -』

『非対称情報の経済学 - スティグリッツと新しい経済学 -』 薮下史郎, 光文社新書, 2002 本書は、これまでの伝統的経済学のみならず、新しい経済学である「非対称情報の経済学」を理解し、新しい視点から現実の経済問題を検討することを期待して、一般のビジ…

2021 Vol. 3:『2025年を制覇する破壊的企業』 山本康正

『2025年を制覇する破壊的企業』 山本康正, SBクリエイティブ, 2020 本書は、2025年の世界に大きな影響力を持つ世界最先端の11社の分析から2025年の世界の未来予想である。本書の冒頭部分は、著者が描く2025年の生活であり、GAFAを中心とした先進企業により…